万葉の道、倶梨伽羅峠の八重桜ー(2)

このたびの、熊本県と大分県を震源とする地震で、被害を受けられた皆様やご家族の方々へ、心よりお見舞い申し上げます。


北国街道は古代より近江の国(滋賀県)の米原から越の国(新潟)に通ずる北陸唯一の街道です、古くから北国路、北国通、越路(こしじ)と呼ばれて日本海側の重要なルートになっていました。
越の国は後に越前(福井県)、加賀、能登({石川県)、越中(富山県)、越後(新潟県)に分かれました。

その北国道の加賀{石川県)から越中(富山県)に通じる峠を古代より「砺波山峠」と呼ばれていました、海から続く平野からの山で海抜は263mと高い山ではありませんが、谷が深く切れ込んでいて嶮しい山道が続いています。

倶梨伽羅不動寺は砺波山峠に今からおよそ1300年前の養老2年(718)に、中国から渡来したインドの高僧が倶梨伽羅不動明王の尊像を、天正天皇の勅願により奉安されたことに始まりました。

峠の名称にもなっている倶梨伽羅不動寺です、その後に起こった源氏と平家の合戦で焼失しましたが、源頼朝により再建されるも、再度の火災や神仏分離令のうよ曲折を経て、現在の倶梨伽羅不動寺は昭和24年に再建されました。

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不動寺が建立されてから465年後の寿永2年(1183)に、ここ砺波山で以仁王の平家討伐の命により信濃の国で挙兵した源義仲(木曽義仲)と、これを迎え討つために京より北陸路に差し向けられた平維盛を総大将とする10万騎の平家軍との間で激しい合戦がおこなわれた、この戦いを砺波山の戦いまたは倶梨伽羅峠の戦いと呼ばれています。

峠道には「源平合戦慰霊の地」の石碑は建っています。
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現高岡市、砺波市、能登志雄山一帯で一進一退の戦いが繰り広げられた、義仲は配下の兵を志雄山に向けて牽制させ、義仲本体は砺波山へ向かった。
砺波山の猿が馬場には平家軍の本体が陣取っていた、今も残る平家軍の本陣跡、高札には平家軍が軍議を開いた軍略図が書かれています。
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義仲は昼間はさしたる合戦も仕掛けづ、平家軍の油断を誘い、義仲四天王の一人樋口兼光の一隊をひそかに平家軍の背後に回り込ませた。
平家軍が寝静まった夜間に、義仲軍は突如大きな音を立てながら攻撃を仕掛けた、平家軍は退却しょうとするが、、退路は樋口兼光に押さえられて大混乱に陥った、平家軍七万余騎は唯一敵がこない方向へと逃れたがそこは倶梨伽羅峠の断崖だった、平家は十万余騎の大半を失い、総大将の平維盛は命からがら京に逃げ帰った。
「源平盛衰記」には、その夜襲で義仲軍が数百頭の牛の角に松明をくくりつけて敵中に向けて放ったという、源平合戦の中でも有名な一場面が記されています、しかしこの戦術が実際に行われたかどうかについては疑問視する意見が多いようです。
峠に牛の角に松明をつけた像が展示されています。
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峠道の林の中にこの戦いで犠牲になった源平の兵を慰霊する為の供養塔が祀られています。
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慰霊塔の後方には平家の武将、平為盛の五輪塔が保存されていました、13世紀鎌倉時代の古い形式の五輪塔で、市の文化財に指定されています。
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平為盛は倶梨伽羅の戦で夜襲を受けて、いったんは加賀の国まで逃れたものの、手兵50騎を率いて再び源氏に逆襲したが義仲の武将樋口兼光に首をはねられました、現在まで語り継がれる勇敢な武将です。
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やじさん、きたさんで有名な東海道中膝栗毛の作者、十辺舎一九もこの峠を通っています、その頃に大変流行っていた不動の茶屋の跡です、十辺舎一九の句が石碑に刻まれています。
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「商いに利生ぞあらん 倶梨伽羅の 不動の前の茶屋の賑わい」
(たいへんおはやりなされています、あらたかな不動様でありますので このように賑わっています)
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当時の峠道も遊歩道として保存されていました、新緑の中を歩いてみましたが当時をしのばれて時間が遡った気がしました。
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峠道の先に芭蕉塚が有りました、長年の風雨にさらされて彫ってある文字も見えなくなっていますが、近くに高札が立っていて分かりました。
松尾芭蕉が奥の細道の道中に弟子の會良と共にこの峠を越えたのは元禄二年匕月でした、
「義仲の 寝ざめの山か 月かなし」
この句は朝日将軍とうたわれた木曽義仲の末路に涙して、越前の熢ヶ城跡で詠んだうたです。
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芭蕉塚の近くに新しい句碑が出来ていました、こちらは「義仲の 寝ざめの山か 月かなし」と、しっかり読めました。
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万葉の歌人、大伴家持もこの峠を越えています、その頃は越中(富山県)の国府は高岡にありました、天平18年(746)に大伴家持は越中の国守として赴任する時にこの峠を越えて国府に向かっています。
大伴家持が国守として赴任した時には、大伴池主は判官として任にあり、新任の家持を良く補佐して親交もあつかった。
家持が赴任してから2年が過ぎた頃に池主は越前(福井県)の判官として転任しました、家持は池主が越中の判官であった時に、ともにほととぎすを愛でた懐古の念を長歌にして越前の判官の大伴池主に送りました。
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万葉集巻19、 砺波山ほととぎす(霍公鳥)の歌

....山の峰には霞がたなびき、谷には椿が咲き、春が過ぎるとホトトギスがしきりに鳴き、独りでそれを聞けばさびしい。ホトトギスさん、あの人と私を隔てている砺波山を飛び越えて、朝には松の枝に、夕暮れには月に向かって、あやめぐさが咲くまで泣き立てて、あの人を悩ませておくれ

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万葉集巻17、 砺波山手向けの神の歌
越前(福井県)の判官大伴池主から、越中守大伴家持が中央政府に旅立ちの時に送った歌

あおによし奈良の家を離れて、あまざかるひなにはあれど...あさぎりの乱れる心を口に出して言うのは不吉なので、砺波山の峠の神に、幣を捧げてこうお祈りします。「いとしいあなたを、何事もなく無事にずっと離れづ守って、月が変わってもまだ夏のうちの、なでしこの花のまっさかりのうちに、お逢いさせてください」と。

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今年の冬の暖かさで、倶梨伽羅峠の八重桜も例年より10日ほど早く開花したようです、GWの雑踏を避けて4月20日に倶梨伽羅不動さんの参拝を兼ねて峠道を歩いてきました。
時まさに新緑の季節に八重桜の花が映えてとても奇麗でした、何度か訪れていますが、この峠道を歩く時に過ぎ去った歴史を重みを感じました、人生50年と云われた時代もありましたが、医学が発達した今日でも人の一生は長くて100年です、歴史の中の人の一生は刹那の如く過ぎ去ってゆきます、古来より歴史に一生を刻む人もおりますが、それは一握りの人です、それ以外の我は自分に悔いのない一生を終えたいものです。

長い記事を最後まで読んで頂いて有難うございました。








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